■忘年会

 忘年会とは広辞苑によると「その年の苦労を忘れるために年末に催す宴会」とあります。
  忘年会というのは日本独特の行事のようですが、その起源は、鎌倉時代にまでさかのぼる事が出来ます。と言っても現在のドンチャン騒ぎとはまったく逆で、優雅に厳かに連歌(和歌などをつなげて詠うもの)を詠う「年忘れ」という行事だったのです。
  江戸時代になると、庶民が「一年の労をねぎらい、杯を酌み交わす」といった、現在に近い形の忘年会が存在していました。しかし、江戸時代に武士階級では「年忘れ」と言う物は行われず、逆に「新年会」の方を大事にして主君への忠誠を誓うものとしていました。
  現在のように、行事として慣例化したのは明治時代に入ってからで、政府の官僚や学生を中心に忘年会がにぎやかに開かれていたという記録があります。官僚はボーナスが出た頃、学生は年末年始の帰省前に集まっていたと伝えられており、この頃になると忘年会は、現在とあまり変わらない年末の風物詩となっていたと推測できます。
  「忘年会」という名前が文献に始めて出てくるのは、夏目漱石が明治後期に書いた「我輩は猫である」です。文中では特に注釈もなく「忘年会」という言葉が使われているため、この頃には忘年会もかなり普及していたと考えられます。


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